やっぱり答えない。

流石に私も痺れを
切らして
言葉を発した。

『左京先生、
いい加減理由を
話して下さい!!』

普段あまり
怒鳴らないからか
私の怒号に
左京先生の肩が
一瞬だけ跳ね上がった。

「わかった、
話すから恋も
呼んできてくれ」

やっと、
話す気になったみたいだ。

『恋、
悪いんだけど出て来て』

部屋の扉をノックした。

「何?」

『左京先生が
理由話してくれるって』

ドア越しの会話……

そう言うと
部屋から出て来てくれた。

恋を連れて
リビングに戻った。

『これで話せるな』

私たちは左京先生が
話し出すのを待つ。

「まず、ごめん」

まさか、
土下座されるとは……

『とにかく、理由を話せ』

マー君が急かす。

「本当は全部
解決してから
話すつもりだったんだ」

そう切り出した
左京先生の話しを
纏めるとこうだ。

この一ヶ月、
逆ストーカーに遭っていて
家まで知られそうになり
そいつが完璧に
居なくなるのを
見計らって
帰って来てたらしい。

「相談して欲しかった」

ふと、恋が呟いた。

『彼女の言う通りだ』

怒ってた
さっきと違い、
マー君も呆れ顔だ。

「犯人は
何処の誰だか
判らないし
万が一恋に被害が
及んだらと思ったら
言えなくて……」

うん、まぁ、
左京先生の気持ちも
わからなくもないけど
でも、時にその想いは
相手を不安にし
今回の様なことになる。

『靖紀の気持ちも
判るけどよ
今回はお前が悪い』

やっぱり、私たちは
似た者夫婦だ。

あれから、
更に一ヶ月後、
その女は別件で捕まった。

これで、
左京先生も
朝帰りなんて
しなくなるだろう。

『よかったね』

もう、浮気の
心配なんてしなくて済む。

「華蓮も佐川さんも
本当にありがとう」

何はともあれ
これで一件落着だ。

『どういたしまして』

私たちはの周りでは
どうもこういうことが
起こりやすいらしい……

何はともあれ
恋の怒涛の
二ヶ月が幕を閉じた。