『ご飯作って待ってるね』

それだけ言って私は
英語教官室を出た。

私は何を作ろうか
考えながら廊下を
歩いていた
まさか、あの会話を
聞かれていたとも
知らずに……

異変に気づいたのは
教室に戻ってすぐだった

「ねぇ南さん、
さっき英語教官室の前
通った時に
聞こえたんだけど
佐川先生が言ってた
『家に帰れば
会えるじゃないか』って
どう言う意味かしら?」

普段は絶対に
話しかけてこない
下橋さんが訊いてきた

〈そぉ言えば
下橋さんも
マー君のファンだったっけ〉

『それは……』

〈最悪だ……
まさか聞かれてたなんて〉

そこにタイミングよく
マー君が入ってきた

『授業始めるぞ』

「先生その前に質問」

『下橋何だ?』

「さっき英語教官室の
前を通った時に
聞こえてきた
会話が気になったんですけど
南さんに言ってた
『家に帰れば
会えるじゃないか』って
どう言う意味ですか?」

〈マー君の方をチラッと
見ると顔の前で手を
合わせてゴメンの
ポーズをしていた〉

〈別にマー君のせいじゃ
ないんだけどな……〉

『下橋の質問だが
そのままの意味だ』

「そのままってことは
先生と南さんは
一緒に住んでるって
事ですよね?」

『あぁそぉだ』

教室が
ざわめきだした……

そんな事も
気にせずにマー君と
下橋さんの会話が
進んで行く

「いいんですか?
生徒と先生が
一緒に住んでるなんて」

『俺は悪いと
思ってないぞ
奥さんと一緒に
住んで何が悪い』

〈マー君そんな簡単に
皆にバラして
どぉすんのよ〉

〈今まで隠してきた
意味がないじゃない〉

〈まぁいっか……

どぉせ
悠緋さんには誰も
逆らえないんだし〉

『他の先生方に
言いたければ、
言えばいいさ
まぁ、それは無駄に
終わるだろうけどな』

「どぉしてですか?」

『理事長は俺の
親父なんでな……(ニヤリ)

華蓮との結婚も承知の上だ』

〈この結婚を
薦めたのは
他でもない
悠緋さんだもんね〉