「私が生まれてすぐの時…父親が私と母親を捨てたの…。母親は毎日泣いてた。どうして…って。でも…私が4才になったら…母親…も、…私を捨てた…。その時っ…ね、私っ…」
俺は琴魅の頭を撫でた。
「ゆっくりでいいよ。俺はちゃんと聞くから」
琴魅は一つずつ息をすいながら話す。
「…捨てられた時…真っ暗な夜道だった。冷たくて…怖くて…何も感じない…。誰も助けてくれない…。道がわかんないっ…それが今でもトラウマで…」
俺はぎゅっとさっきより強く抱きしめた。
「…話してくれて…ありがとう」
「え?」
どんなにつらかっただろうか。
どんなに寂しかっただろうか。
小さな君は…どれだけ傷ついたのだろうか。
「ごめんな… 俺、知らないことだらけで…」
コイツは俺の知らないところで、きっとずっと心の中で泣いてきたんだ。
誰にも頼らない。1人ぼっちで…。

