炭坑の子供たち(1)

 月に何度か、2頭引きの馬車がやって来て

社宅の共同便所から、汲み取りをして行くが

今みたいに、勢いよく吸い上げれポンプなんてないから

横の汲み取り口から、長いこえびしゃくで汲み上げて、桶に移し

それを、木でこしらえた馬車のタンクに入れていた。

その馬車にすら、子供達は群がって、後を追って行く。

2人のおっさんは

タンクになった馬車を、市役所の近くに置いて

それぞれが、馬だけを引いて、田舎に帰るのだが、今度は

「おいちゃん、馬に乗せて」

と、子供達は、付きまとうのである。

その内、ある日を境に、子供達は、馬に乗せて貰う様になり

みんな、交代で乗せて貰っていた。

背中にムシロを敷いただけで、鞍なんてないが、結構乗れるものである。

ところが、悪そう坊主が、面白がって、馬の腹を蹴ったからたまらない。

馬は、おっさんが持ったたずなを、振り切って走り出し

びっくりした悪そうは、疾走する馬の首に、必死でしがみ付くしかなかった。

その事件以来、当然、誰も乗せてくれなくなるどころか

子供達が近付くと、ひしゃくでウンコを、かけられる様になってしまった。