炭坑の子供たち(1)

 巡礼が来ても、母親が居ると

子供が肩から下げた白い袋の中に、一握りの米を入れてやっていた。

こちらも苦しいのだから、せめてものお情けであった。

巡礼も托鉢の坊さんも、おやじの居る時に来たのが、運のつきである。

時には、通りが江戸時代にさかのぼる事があった。

虚無僧が深編み笠をかぶり、尺八を吹きながらやって来るのだ。

しかも、物珍しさに付いて回る、大勢の子供達を従えて来る。

やっぱり、家の軒先に立って、下手な尺八を奏で

その時代劇の世界を再現してくれた、ヨレヨレの着物を着た虚無僧も

「御免っ」

の一言で退散する。

そんな虚無僧が又やって来た時に

勇気をふりしぼって

「御免っ」

と言えた時には、一つ大人になれた様な、悪い事をした様な、複雑な思いがしたものだ。