炭坑の子供たち(1)

 しばらくすると、ボールを持った二塁手だけが戻って来る。

「家の中に入って、中から突っかい棒をして出て来んばい」

「そんなら、便所に出て来た時にでも、タッチアウトにせんとつまらんなあ」

「ああ、そうや、明日学校に行く時がいいかも」

ルールも何も、分からない連中ばかりであった。

もう逃げた奴を保留にして、野球を続行である。

1チームに1個しかないボールは、みんなにとって宝物であるが

持ち主にとっては、もっと大切な物で、しっかりと名前を書いていた。

そんなボールが、肥やしをまいたばかりの畑に、ペチャと落ちたり

2,3度バウンドして、野つぼにはまったりすると

もう半泣き状態であった。