* あれからどれくらいの間 ぼーっとしていたんだろう。 「‥‥な?‥おい、菜々」 自分の名前を呼ぶ声に気づいて はっと顔をあげる。 「‥‥‥京‥介」 「お前こんなとこで何してんの?」 その場を動かずに ただ突っ立っているだけの私の顔を 京介が不思議そうに覗きこんだ。 「あ‥‥えっと、 涼ちゃんに会いにきた‥‥んだけど」 窮屈で仕方のない浴衣のまま ここに来た目的は涼ちゃんに会うためだ。 だけど、今日は会えそうにない。 会いたいけど、 二人を目の前にしてちゃんと笑える自信はない 。