蝉時雨



もう涼ちゃん家のすぐ側の公園に着いていた。
公園を過ぎた先には少し急な坂道が続く。
登りきった先が涼ちゃん家だ。

駆け上がりたい気持ちを抑えて
浴衣が着崩れないように
いつもより狭い歩幅で歩く。


段々と坂の向こうの景色が開けてきた時、
涼ちゃん家の当たりに2つの人影が見えた。



あの後ろ姿は間違いない。
涼ちゃんだ。