蝉時雨



花火も終わり、来ていた人々も
次々に祭り会場を後にしていく。
時計は21時20分を指していた。

祭り会場から少し行ったところで
優花達と別れ、私は涼ちゃん家に向かう。

途中立ち寄ったコンビニで
浴衣の崩れも化粧も直し、
優花にも最終確認をしてもらって
涼ちゃんに会う準備はばっちりだ。

どんな反応をしてくれるか
想像しては、自然と口元がにやける。
カランコロンとなる下駄の音が
高鳴る気分を更に盛り上げた。
足取りも軽い。





「9時過ぎには
戻るって言ってたし、
ちょうどいいくらいかな」

と1人呟いて再度時計を確認する。