「しょうがないじゃない。好きなんだもん」
そう、ため息混じりに呟くと
優花がにやっと口角をあげた。
「もうこの際京介にしとけば?」
「京介?ないない。絶対ない。
向こうもそう思ってるよ」
優花のありえない発言を
あきれながら否定して、りんご飴をかじる。
京介となんて考えたこともない。
というより涼ちゃん以外を
恋愛対象として見たこと自体ない。
「あはは。
そんな反応だろうと思った!!
菜々子は涼ちゃん一筋だもんね」
「当ったり前でしょ!!」
「でも京介は不憫ねえ。
あいつ結構モテるのに」
優花がわざとらしく眉をさげて
かわいそうに、と横で嘆いている。
「京介がかわいそうとか
思ったこともないくせに」
呆れてそう返すと、優花は
「ばれたか」と言って舌を出した。
京介とも付き合いの長い優花は
京介に対していつも毒舌だ。
まあ、京介に限らずそうなんだけど。
