蝉時雨




「去年のもので申し訳ないんだけど‥‥。
せっかくだし、
よければ今日のお祭りにでも着ていって。
帯も下駄もあるし」

「いいんですか?
ありがとうございます」


圭織の反応におばちゃんも嬉しそうだ。

なんだか圭織との差が更に広がったようで
また胸の中にもやもやが広がる。




すると嬉しそうに浴衣を受け取る
圭織を見ながら涼ちゃんがしみじみと言う。



「女の子の浴衣姿はいいね~。
なっ、京介!!」

「はあ?んだよ、その言い方」

「涼ちゃん浴衣姿好きなの!?」

その言葉に、話を振られた京介以上に
食い付いた。