するとがさがさと箱を漁っていた
典子おばちゃんから声があがった。
「あったあった!これよー!!
やーっと見つけたわ。
圭織ちゃん、ちょっといい?」
「?はい」
手招きされ、おばちゃんのところへ
向かった圭織に箱から取り出された
浴衣が羽織られる。
白地に青い紫陽花が品よくプリントされた
シンプルなデザイン。
「おばちゃん、これ去年の?」
「そうそう!!去年いただいたやつ」
その浴衣は去年おばちゃんが
知り合いの人からもらったものだった。
私も一回袖を通したけど、
あまりに大人っぽいデザインは
私には似合わなかった。
「菜々ちゃんにはちょっと
デザインがシンプルすぎたけど
‥‥‥圭織ちゃんにはぴったりね」
「うん、すごく似合ってる」
おばちゃんの言葉に賛同しながら
薄く頬を染める涼ちゃん。
悔しいけど、確かにその上品なデザインが
燐とした圭織の雰囲気にとても合っている。
