そんな私を見兼ねてか
圭織が涼ちゃんに話しかける。
「涼太、
菜々子ちゃんも一緒に行っちゃだめ?」
「え?いやいや。
だめとかじゃない。
俺は全然かまわないんだよ」
「それならいいじゃない」
「うん。でもさ歳も離れてて
知らない人ばっかりじゃ
菜々子がつまんないだろ?」
「それは‥‥まあ‥‥」
そう言って
二人は菜々子の様子を伺う。
菜々子はそんなこと全然気にしない 。
涼ちゃんがいれば何だっていい。
せっかくだもん
涼ちゃんとお祭りに行きたい。
でも―‥‥
「菜々子、どうする?」
優しい笑顔を浮かべて
私に目線の高さに合わせて屈んだ涼ちゃんと
顔をあげて視線を合わせる。
「‥‥ううん!!
私も友達と行くし、大丈夫だよ。
お祭りの会場で会えたらいいね」
「‥‥うん。そうだな。
ごめんな。今度は一緒に行こう」
「うん」
子供っぽい考えは
口元まで出かけた幼稚な言葉と一緒に
ぐっとのみこんで、明るく返事をすると
にかっと笑う涼ちゃんに
同じように微笑み返した。
