涼ちゃんの背中に向かって
京介が声をかける。
「兄貴、勝手に先行くなよ」
「おー、ごめんごめん。」
「‥‥あ!!
涼太、もしかして弟くん?」
京介の方に振り返った涼ちゃんの背後から
女の人の声が聞こえて、
ひょこっと顔を覗かせた。
この人がーーーー‥‥‥
初めて対面した“圭織”の姿に
思わず 言葉を失った。
これまで涼ちゃんの好みに近付けるように
頑張ってきたよ。
もちろん自分の好みもあるけど
服もメイクも髪型も、
基準は全て“あなた好み”だった。
ねぇ、涼ちゃん
私には僅かな期待すら抱かせてくれないの?
