蝉時雨




「今日はごめんなさいね。
わざわざ菜々子まで
一緒に連れてってもらっちゃて」

「全然かまわないですよ!!
菜々子のこと彼女にも紹介したいし」

「あら!!
今日は涼ちゃんの彼女さんが来るの?!」

驚いたママが興奮ぎみに大きな声をあげる。





「はい。うちの両親と顔合わせに」

「あら、そうなの!?
もう!!菜々子ったら。
何も教えてくれないんだから」



そう言ってこっちに視線を向けてくるママと
目が合わないように、
玄関の方へ私は視線をそらした。