蝉時雨




「つーか、なんで菜々が
ここにいるんだよ」

「そんなのお出迎えする
ために決まってるでしょ」

「…なんで知ってんの」


呆れたように京介が
私の方に視線だけを向ける。



「典子おばちゃんに聞いたの。
メル友だもん!ねー」



典子おばちゃんに向かって
首を傾げてみせると、「ねー」と
おばちゃんも同じように返してくれる。

京介は相変わらず眉をよせてあきれ顔だ。

そしてまじまじと私に視線を走らせる。






「……通りでそんな格好なわけ」

「うん!!かわいいでしょ?」


ワンピースの裾をもって
わざと大袈裟にくるっと回ってみせる。




「はあ?」

「菜々ちゃんかわいい!!
やっぱり女の子はいいわねえ」




きゃっきゃっとはしゃぐ
おばちゃんとは正反対に、
京介はますます呆れ顔だ。