蝉時雨




落胆してため息をつく私を前に
京介が不機嫌そうに眉をしかめた。



「あ゙?何だよ、その反応」

「だってぇー」




「あら、京介だったのね」

典子おばちゃんも少し遅れて
玄関に駆けつけてきた。








「先生の要件はなんだった?」

「…………何でもねーよ」


典子おばちゃんの問いかけに
バツが悪そうにそっぽを向き、
怪訝そうに眉をしかめる京介。

それを茶化すように私が会話に割って入る。




「どーせまた再試か補習でしょ?」

「‥‥るせーよ」

「あー、図星だ」

「京介!
あんたちょっとは菜々ちゃん見習って
勉強しなさいよ!!」



私たちの小言を無視して
京介はスニーカーを脱ぎ捨てる。