蝉時雨




「お父さん、はい麦茶。
菜々ちゃんはいつものね」

「わーい」

「菜々子はいっつもそれだな」

「うん!!
白桃のカルピス大好き」






受け取ったグラスを口に運びながら
きょろきょろと辺りを見回す。
どうやら、まだみたい。






「…菜々子ちょっと来るのはやかった?」

「こっち着いたって電話あったから、
もうすぐのはずよ」





おばちゃんがそう言った瞬間、
玄関の引き戸の開く音がした。






「帰ってきた!!!」


音を聴いたと同時に立ち上がり
一目散に玄関へと向かう。







どんなにこの日を待ちわびただろう。





やっと、
やっとあなたに会える。