蝉時雨




そして私の座るブランコの方に歩き出す。 
じゃりじゃりと砂を踏む音が近づいてきて、
それに合わせるように鼓動が速くなる。





「き‥‥京介っ?」

「何だよ」

「えっ、今からするの!?」

一気に緊張してきょどる私をよそに
京介はどんどん私の方に近づいてくる。






「るせーな。
今じゃなかったらいつすんだよ」

「や、今だけど!!ねぇ、でも」

「‥‥‥‥‥‥‥」

「あ、ちょっ、京介っ」




元からそんなに開いていない京介との距離は
あっという間に埋まって、
あたふたしているうちに
私の目線に合わせて屈んだ京介と至近距離で
見つめ合う形になった。