蝉時雨




「‥‥ぶっ‥‥ごほごほっ!!」

京介が勢いよくむせた。
口から漏れたジュースが
地面にボタボタと黒いシミをつくる。







「わぁっ!!京介汚いっ!!」

「ごほっ‥‥お前っ‥!!
ばかじゃねーの!?」

「なっ‥!?何よー!!
恥ずかしいの我慢して言ったのに!!」

改めて自分の言ったことへの
恥ずかしさが込み上げてきて顔が熱くなる。



乱れた呼吸を整えると、京介は
心底呆れたように大きなため息を吐いた。






「はあ‥‥いきなり何を言いだすかと思えば」

「そ‥‥そうだけどっ!!」

京介に向けた視線を下げて
手元の缶を指先でいじる。






「でも‥‥‥。
ふざけて言ったんじゃないよ」

ぼそぼそと答えた私に
京介はまた小さくため息を吐くと、
困ったように頭をかいた。