蝉時雨







「わー!!すっごい久しぶり!!」

公園に着くなり、懐かしい景色に
嬉しくなって浴衣姿なのも気にせず
ぶらんこに駆け寄る。




「菜々子ぶらんこが1番好きだったなあ‥‥」

と、はしゃぎながら腰掛けたぶらんこは
今の私には少し小さくなっていた。



そこへ自販機のところから
京介が歩いてきた。






「ん」

「やったぁ。ありがとう!!
でもネクターがよかったな」

「るせーな。
なかったんだよ。贅沢言うな」

差し出された缶ジュースを受け取りながら
冗談まじりに小言を言うと、
京介におでこをはたかれた。

そして京介はタブを持ち上げながら
ぶらんこを囲む囲いに腰掛ける。



手の中の冷えた缶がひんやりと気持ちいい。