蝉時雨




京介は必死にすがる私を
眉をしかめて黙って見つめる。
そして小さくため息をついた。






「‥‥ったく、話すだけだからな。
絶対遊具じゃ遊ばねぇから!」

「‥‥‥うんっ!!ありがとう!!」




京介の言葉にほっとして笑みがこぼれる。

そして公園の方に向きを変えて
けだるそうに歩きだす京介の後を追いかけた。







遠ざかっていく涼ちゃん家





気をつけていた歩幅も、浴衣の着崩れも
今はもう気にならない。








京介、わがまま言ってごめんね 。


でも今はどうしても
涼ちゃんに会いたくないの。