朦朧とした頭でも直後は背中に痛みを感じたが、そんなことはどうでもよくなるくらい俊明は酔っており、すぐに眠った。翌日も痛みは続いたが背中だけでなく激しい頭痛と体中の関節が痛むような感覚に苛まれ、腕にあざができたことなど考えもしなかった。俊明はその日痛みのせいで何もできず、3連休の最終日を無駄にした。

午前中の仕事を終えて事務所に戻ると他のスタッフが輪を作っていた。社員旅行の写真をみなで眺めていた。俊明も自分の写真を探した。
(これ………おれ?……)
若い男子社員が手に持っていた写真の中に俊明の後ろ姿が写されている。そこには俊明にとってはあざよりも衝撃的なものが収められていた。後頭部に小さく地肌があらわになっている部分ができていたのだ。

もう44にもなれば多少なりともそうした変化は当然と頭の片隅では思っていても、やはり俊明にはショックだった。肉体仕事ゆえ体力も体型も同世代に比べれば圧倒的に勝っていたし、まだまだ若い社員には負けないと自負していた。しかし後頭部の地肌は20代30代のころは全く持ち合わせないものであるのは間違いなかった。