噛み付きも、爪も。

リーニアの武器は完全に封じられた。

如何に高い身体能力で翻弄できようと、攻撃が通じないのでは倒す事はできない。

また、龍娘も防御一辺倒ではリーニアに勝つ事はできない。

この勝負はどちらも決め手に欠けるまま、引き分けといった所か。

「ご馳走を目の前にして引き下がらなければならないのは悔しいですけれど…」

歯噛みしつつ、リーニアは元の姿に戻っていく。

「一応『目的』は果たしました。私はここで退きます」

あまりにも潔く。

龍娘を前にして、リーニアは図書室から出て行く。