天神学園の奇怪な面々Ⅴ

単発での威力に勝る可畏に対し、龍娘の中国拳法は手数に勝る。

息をつかせぬ連打によって反撃の隙を与えず、再び可畏からダウンを奪う!

「この辺にしないか」

龍娘が可畏を見下ろす。

最初とは逆の形だった。

「仲間を救わんとするお前の意気やよし…しかし力量に差がありすぎる。私も指導とはいえ、これ以上生徒に拳を振るいたくはない。今なら停学処分程度で勘弁してやる。退け」

「……」

龍娘の言葉に耳を貸さず、立ち上がる可畏。

まさしく破壊を司る神の化身。

どちらかが滅ぶまで歩みを止めぬ気か。

「…やむを得んな」

腰を低く落とし、更なる戦闘に備える龍娘。

その目の前で。

「調子に…乗るなよ」

可畏が言った。

その言葉に龍娘は耳を疑う。

言葉にではない、声にだ。

声色が違う。

先程までの野太い声ではなく、声色からして…まるで年頃の娘の声だった。