そんな憶測が飛び交う中。

「おいっ」

葉月が疾風を呼び止める。

一人だけ別方向に向かおうとする疾風。

機械科の教室の方角だ。

「お前らは先に行ってな。特に龍太郎は犯人候補だ。小夜と一緒に学園から脱出しろ」

「疾風君何する気?」

どこか緊張感のない間延びした声で璃月が言う。

「へへっ」

よくぞ聞いてくれましたとばかりに、疾風は不敵な表情を浮かべた。

「この状況…改良した『新型』のテストにゃ持って来いだぜ」

疾風のその『意図』に気づいたのか。

「じゃあ俺も付き合う」

「面白そうじゃない」

葉月と雲雀も立ち止まった。

彼らも可畏と同じ事を考えていた。

生徒指導の龍娘から仲間達を逃がす為に、体を張って足止めをする。

何より謂れなき罪で逃げ回るなんて真っ平だ。

ここは断固として立ち向かう!