夕方。 多 少日は沈んでいるので、真子と梓には美紅の姿は見えている。 「幽霊だからそやつに御主の姿は見えないだろう」 梓が美紅に聞く。 『だけど、私は自分の気持ちを伝えるだけで十分だから』 なかなか心優しい彼女だ。 これで彼女が成仏できたらいいのだが。 しばらくすると大学の入り口から、1人の男性が出てきた。 その人は写真で見たあの人にそっくりだった。 『あの人…!』 それはまさしく〝三倉 蓮〟だ。 数年前とは変わっていない勇ましい姿だ。