『助けて』 この声はまだ聞こえている。 でも気づいた。 この声はだんだん大きくなっている。 ということはこの近くにいるってことなのか。 「もう帰りましょう!」 「じゃあ帰ればいいじゃないか」 確かにそうだが、足が震えて思うように動かない。 つかみっぱなしを梓の腕を離したくない。 もうどうしようもない状態なのだ。