「龍平さん、言ってた。自分は決して許されていい人間じゃないって。 幸せになったらいけないって」 あの時の悲しい言葉。 切ない表情。 思い出すだけで涙が出る。 「それに..那由奈ちゃんにも大切な人がいるじゃない」 「え?」 「那由奈ちゃんだって一人じゃないんだよ。ちゃんと傍にいてくれる人がいるんだから」 「タイチ..」 「那由奈、お前だけが悲しいんじゃないんだからな」 そう言うと那由奈ちゃんはタイチ君に抱きついた。 「た..いち..」 何度も何度も タイチ君の名前を呼びながら。