『仕方なかった…

クイーンより シンデレラに選ばれた以上辞退する事は出来ない。』


なら∮黒騎士∮をたてなければ 自動的に破棄されるはず…


『わかっています…
だけど…

戦わないで負けるのは嫌いです。』


≪だけど 幸雛…

じゃなかった…

幸雛様…

落ちこぼれの俺を選んだ…理由は…≫


『別に 誰でも良かった…

クイーン…落選の口実ができれば…

だって…そうでしょ…
私が選んだ道じゃないし…
仮に私が 貴方を選んでまけたとしても…
私は 何も傷つかないし…


パーン!!


俺の手の平が 幸雛の頬を打った


≪あんたは嘘つきだ。
本当に負けるのが嫌いな人間は

そんな口実は使いはしない…≫


『黙れ!…』


≪あんたは…ただ自分に自信がないだけだ…≫


パーン!!


『貴方に… 何がわかる…』


幸雛の目から涙が零れ落ちる。


『偉大な両親に 優秀な姉…』


そんなのはどこの家庭でもよくある話しだ。

『いいえ…貴方には わからない

私の様な 小さい者 の気持ち…なんか…わかりはしない…』

幸雛は そう言うと走り去って行った。

俺は去りゆく幸雛の後ろ姿を眺めていた。

∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮

その二人を見ていた者がいた。


『シンデレラ

沙羅雪 幸雛

∮黒騎士∮

黒夢 清春…

此奴等は ば…つっと、』

男は手帳に記した。