「え?」 今あたし話しかけられた…? 片桐くんは確かにこっちを見ている。 「別に。こんな時間に学校来るの、俺以外にもいるんだなって」 それだけ言うと、片桐くんは踵を返して中庭へと歩き出した。 ミカコ、なに固まってんのよ? 片桐くんに近づける最大のチャンスじゃない。なのに…あまりの驚きで声が出ない。 気づいたら、 片桐くんの学ランの裾をギュッと掴んでいた。 「なに?」 声が低いのは意外だった。 あとで倉木に報告しよ。