校門を入ると、片桐くんは教室ではなく中庭に向かう。 うちの高校の中庭はまあまあキレイだと思う。 片桐くんはそこにある2人掛けのベンチに座り本を読む。 でも、今日は違った。 中庭に向かう瞬間、片桐くんが振り返ったんだ。 あたしは丁度、上履きに履き替えていたところで、思いっきり彼と目が合った。 こんなこと今までなかったのに。 その時間がひどく長く感じた。 口を開いたのは、 「君、いつもいるね」 片桐くんだった。