その翌日から、彼を同じ電車で見かけるようになって。
それから今日まで、私はこっそりと彼を盗み見るのが週に五回の日課になってしまっている。
「はぁー…今日も乗ってるのか、紅南の人たち」
一人彼と初めて会った(見た)時を思い出し浸っていると、前に立っていた亜実ちゃんから聞こえてきた深い深い溜息。
彼女の視線の先にいるのは先程電車に駆け込んできた彼らだった。
もちろんそこには私の想い人である彼もいるわけで。
「亜実ちゃん、嫌…なの?」
「だって紅南だよ?イメージ良くないじゃん」
恐る恐るそう聞けば、亜実ちゃんは不機嫌そうに眉を寄せ明らかに嫌悪感を含んだ視線を彼らに向ける。


