不機嫌そうに顔を顰め、友達であろう男の子を睨んでいる"トウゴ"と呼ばれた彼。


ただ一人、私の視線を奪っていく人。




(今日も、格好良い…)




そう。彼こそが、景色さえも色褪せたこの通学時間が私にとってなくてはならない大切な時間になった理由だ。



小中高と親に言われるままエスカレーター式の女子校に通っている私は昔から同じ時間同じ電車に乗っていて。


学校は嫌いではない。


友達もいるし勉強も面白いと思う。


別に今の学校に行くことを不満に思ったことはないけれど、何か物足りないと感じていたのもまた事実。


毎日毎日同じことを繰り返すつまらない時間を過ごしていた。