七色ライラック





「なぁ、あの二人は…」


「気付いてるわけないだろ」




速攻で返ってきた返事にホッと肩を撫で下ろす。

そして、少しだけ冷静を取り戻した。


そうだよな。あの二人アホだもんな。

バレるわけない。




「そんなことより…これ、チャンスじゃん奏芽」




よかったと安心する俺の前で、雪はちらちらと彼女の生徒手帳を揺らす。

至近距離でちらつくそれに俺は思わず目を瞬かせた。




「落とし物は持ち主に、だろ」




雪の言葉にハッと息を呑む。


落とし物は持ち主に。

この生徒手帳は、彼女のもとに。

それは、そういうことなんだろう。


さっきまで散々どうするか悩んでいたけど。

そんな暇あるなら行動しなきゃだろ。


このチャンスを逃したら、次はないかもしれないのだから。