「やっべ!…トウゴ、急げよ!乗り遅れんぞ!!」


「わーってるっつの!!」




亜実ちゃんが乗ってきた次の駅で、ドアが開くのと同時にバタバタと駆け込んできた数人の男子学生。


その中のある一つの声だけが大きく私の耳に届いて。




(わっ…来た!)




その声が聞こえた瞬間、カチンと固まってしまう私の体。

それと同時に心臓が物凄い勢いでドキンドキンと音をたてる。




「しゃ!セーフ!」


「何がセーフだよ。全部お前が寝坊してきたせいだろ」


「そーだそーだ!!」


「そのせいで階段走らされた」




私が立つドアとは反対のドア側に立つ彼ら。


その中に黒い短髪に少し長い襟足だけが綺麗な金色をしている背の高い彼が見えた。