いつもの電車のいつもの車両。


窓の外を流れる景色も四季折々天気によって変わるけれど、見慣れてしまえば結局みな同じ。


外の景色などほとんど見ないまま、適度に混みあった人の波を掻い潜り一人ドアの近くに立つ。



これが私、和泉美桜(イズミ ミオ)のいつも変わらない朝の風景。




「美桜、おはよう!」


「亜実ちゃん!おはよう」




途中から乗り合わせた友達の亜実(アミ)ちゃんと挨拶を交わす。

これもいつもと変わらない光景。


そのまま他愛無い会話をしながらいくつもの駅を過ぎていく。



そんな代わり映えしない通学時間が、一日の中でとても大切な時間に変わったのは去年の秋頃のことだった。


理由は、たった一つ。