──────プルルル、プルルル


まだ空は微かに青い。

遠くからチャイムの音だけが聞こえる静かな空気のなか震えた携帯。


聞こえてきたのは、見覚えのない番号からの着信だった。


普段なら眉をしかめるところだが、今日だけは特別だ。

今日だけは登録していないその番号に期待している。




「はい」


『あ、も、もしもし!い、和泉です』




期待を胸にピッと通話ボタンを押せば、少し焦ったような可愛い声が聞こえてきて。


その声にドキリと胸が鳴る。そして自然と緩む口元。


朝から、いや昨日の夜からこの瞬間を待っていた。

緊張する自分を抑えてなんとか渡した自分の番号。


一日中聞きたくて仕方なかった声が電話越しに聞こえてる。