家を出る時間を早くした私にパパは不思議そうな顔をしていたけど、ママは何も言わずに笑って送り出してくれた。


きっとママは何かに気付いているのだと思う。

もしかしたら彼のことだともわかっているのかもしれない。


それでも、今の胸のうちは誰にも言うことが出来なかった。




「…はぁ」




一日中彼のことを考えて終わる毎日。

この溜め息ももはや最近の日課だ。

授業の内容なんて、ほとんど頭に入っていない。




「美桜…大丈夫なの?」




駅に向かって歩く学校帰り。

俯きながら歩く私を心配そうに見ているのは亜実ちゃん。


そんな亜実ちゃんに大丈夫、と小さく返すけどその声は思ったよりも弱々しくなってしまって。

全然大丈夫そうに聞こえない。