あの後、時間も忘れてベンチに蹲っていた私。


途中からポツリポツリと降りだした雨は気付けば土砂降りに変わって。

頭の先から足の先まで濡れた私は、土日を丸々寝て過ごすことになった。


帰りが遅いのを心配して迎えに来てくれたお兄ちゃんにはこっぴどく怒られたけど、その理由だけは言えなくて。




『…別に、何でもいいだろ』




あの声を思い出すだけで目頭が熱くなり涙腺が緩む。


そんな私に何かを悟ったのか、深く問い詰めることもなく"心配したんだからな"と頭を撫でてくれたお兄ちゃん。

手の暖かさに申し訳ない気持ちが込み上げたけれど。

その優しさに甘えて口を閉ざした。


あれから一週間。

私は一度もあの電車に乗っていない。