(…私の、意気地なし)




これだからダメなんだ。

せっかく彼が話しかけてくれたのに、会話すらまともに出来ない。

自分からじゃ話一つ思い付かないなんて。

これじゃ何も変わらないのに。


そうこうしているうちに、もう一つ手前の駅に着いてしまって。

情けなさに打ちのめされそうになった。


その時



ぐいっ




「へ?」




俯いて泣きそうになるのを堪えていると、突然引っ張られた腕。

慌てて顔を上げれば、私の手をと取って走り出す彼の後ろ姿が見えて。

そのまま一度も降りたことの無いホームへと駆け出す。


何が何だかわからない。

ただいつの間にか彼と繋がれていた手のひらが無性に熱くなっていくことだけはわかった。






心地いい風が吹き抜けた木曜日の微熱。