何しているんだろう。何がしたいんだろう。
 昼過ぎの喧騒が一段落したファミレスで、僕は頬杖をつきながら窓の外を眺めて思った。
 こんなとき、街の景色は色あせ、音消え、僕の周りはソファーとテーブルと飲みかけのコーヒーだけになり、まっしろな空間でたった一人、僕だけが頬杖ついたまま浮かぶことになる。
 白いのは周りの景色だけにとどまらず、頭も心も霞んで薄らいでいく。だから一人になれて嬉しいとか、一人になってしまい哀しいとか、そんなこともなく、僕は未完成の絵のようなものになる。夕方になり、再びファミレスが混雑するまで、僕はときたまそんな時間を過ごす。
 絵描きはいつか現れるのだろうか。