龍神会の若い者とのいざこざに巻き込まれて、若と乗っていた車が襲撃されたのは4月の半ばだった。


銃撃されタイヤが裂けて車は歩道に乗り上げ絶体絶命だった。



「若、大丈夫ですか?」


迎え撃ちたかったが繁華街での銃撃戦はまずい。

こっちは3人。

向こうはそれより倍多い。

追っ手がきた時にはとにかくやり過ごそうとしたが運悪く見つかった。



「いたぞ!」

「ちっ」


若を庇うようにして前に出たが、それを拒むように体を寄せて若は自分を押し付けた。



「自分を大事にしろ」



耳元で若が言う。



声に気を取られて、そして、ハッと気付くと女子高校生が目の前に飛び出してきた。

歩道の脇でさっきから本を読んでいた娘だ。




危ない!!