「ひかるちゃんについてやれ。もしもの可能性だってある」


「!!」


もしもの可能性―――



目眩がして妹の骸を抱いたシーンがフラッシュバックした。


冷たくなっていく頬を撫でて。

胸の鼓動を何度も確かめる。




「もしもの、とき?」


「そうだ。だからついててやれ」



万が一の時には看取る覚悟が必要になると若が言ってるのだ。


「今夜はついててやれ」


「………」


「俺はりおの両親に会ってくる」


若がさりげなく背中を向ける。


「りおには…伝えないでおく。腹の子に障りがあれば大変だからな」


心を痛めてるのは自分だけじゃない。
若もひかるちゃんが狙われたことで家族が傷つくことをわかっている。



「榊、あとは頼むぞ。前広、榊が勝手なことをするならの動きを止めろ」

「はい」