「こ、怖くないですっ!」
元太の服の裾を握り締め必死で頭を振った。
「ひかるさんはわたしの代わりに間違って連れてこられただけだから、だから。」
彼女が振り向いて腕の中に飛び込んだひかるを見た。
「このまま帰してあげてください」
お願いします。
彼女とひかるが親父を見上げる。
「ごめんなさい。嘘をついたのは謝ります。元太さんの彼女はわたしではありません。わたしの好きなひとは榊さんだけだから」
同時に告げられて親父がゆっくりと瞼を閉じた。
「儂は騙されたままでおってもよかったんだがな」
「親父!!」
咎める視線を浴びて黙り込む。
「お願いします」
「騙してごめんなさい」
「親父、」
みんなが祈るように見ている。
「親父、俺は親父が用意した見合いをするつもりはない。偽の彼女で諦めてもらおうと画策したのは謝る」



