「榊原、何の真似だ?」
壮年の男が眉を寄せて榊原の斜め前に立ち凄みのある低い声で唸った。
見分けがつかず戸惑う3人の後ろから鋭利な眼差しを持った男が現れた。
「ひとりで乗り込んでくるようなバカを気にいったんでね」
「そういう輩をおまえが潰さなくてどうする」
苦虫を噛み潰したような不味い表情をして、それから自分と彼女を見た。
「この女は?」
「元太のコレらしい」
「?……奥で親父と話をしてるぞ?」
「あれは違う」
榊原は小指を立てて若い息子の女だと示すと、壮年の男が首を傾げた。
親父の前にいるのはひかるだ。
本当の恋人役は後ろにいる彼女だ。
違うと榊原が話をしてくれた。
「わたしは恋人を返してもらいに来ただけです」
「今、親父と話をしてる娘が、……おまえの恋人?」
「そうです。彼女はわたしのものです」



