『若恋』榊の恋【完】




「甘いな。怪我したとこを攻めないというわけじゃないんでね」

「くっ、」

左の肩は痺れたまま動かない。


「あっさり決着はついたな」

首に手を当ててつまらなそうに吐き捨てた。


その時。


「―――まだです」


膝をバネにして跳ね上がり二段蹴りを繰り出した。


腕が使えないなら脚がある。
脚なら怪我は完治している。庇わなくても全力で戦える。


「!!」


避けようとしたが二段蹴りをかわせずに榊原の胸にヒットした。

胸を突かれた衝撃で榊原の口元から赤い血が飛び散る。


「くそっ、バカヤロ。胸に一撃入れやがったな」

「お互いさまです」

「案外、できるじゃねえか」


自分とうりふたつの顔が苦痛に歪むのを見て、お互い痛み分けで一度身を引いた。


「吹田さん、大丈夫ですか?」


彼女は榊原との闘いを見て顔を青くしていた。

声を掛けるとすぐにはっとした表情になり肩を押さえた。