―――負けねえ。 鈍かった動きが水を得た魚のように嘘のように軽くなる。 上段から斬り込まれて両手を上げてやっと受けた。 「本気じゃねえなら消えろ」 「本気だったら?」 「違う。おまえは妹に重ねて見てるだけだ」 「重ねてなかったら?」 「そうだとしても、りおはやれない」 パンッ 「りおはやれない!」 「わたしだってそうです!」 思わずそう叫んでいた。