『若恋』榊の恋【完】




張り付いたシャツを剥がすとひかるの白い肌が露になった。

染みひとつない体に黒く長い髪が流れている。

一糸纏わぬ体が小刻みに震えてしがみつく。



「目を開けてひかる」


頬を真っ赤にしたひかるが顔を上げた。


「榊さん、」


薄闇で初めてをもらった時のようでもなく、二度目の夜のようでもない。

お互いの姿を湯気越しに見ることができた。


「きれいです」


白く滑らかな肌。
柔らかく膨らんだ乳房。
すらりと伸びた手足。

そして左の手首には数センチの赤い筋が走り、ハンカチで縛っていた部分は朱に染まっていた。

渇ききらずに流れる水に血の匂いが溶ける。


「この傷も、すべてわたしのものです」


口を寄せすべてを受け入れる。


ひかるのすべては自分のもの。
自分だけのもの。



「んっ、」


深いキスを繰り返しひかるを腕の中に閉じ込めた。