「榊さん、この肩の傷…」
脱ぎ捨てたシャツの下に現れた肩を見てひかるが息を飲む。
りおさんの護衛についた時、校舎前で待ち伏せされて撃たれた時の痕だ。
「こういう世界にいるのでいろんな傷があります」
「この他にも?」
「ええ、右肩にも、脚にもあります」
ひかるを奪還するために龍神会残党と撃ち合いした時の傷痕もある。
「榊さん、お願い……見せて」
「ええ、いいですよ」
肌に張り付いたものを脱ぎ捨てる。
「こんなに傷ついてたなんて…」
肩にひきつれた痕。
脇腹にも刃物でかすった痕。
脚にも成田が縫った痕がある。
それをひとつひとつ傷痕を指でなぞり、ひかるがくちびるを噛み締めて涙を溢していく。
「……知らなかった。こんなに傷ついてたなんて」
「見せて気持ちのいいものではなかったし、得意になって話すものでもないので」
「……そんなことない。榊さんのこと何も知らなかった」



